ウェスタ川越のコンサートホール(大ホール)の音響性能




ウェスタ川越には多目的に利用する大ホールがあります。コンサート以外で何回か入ったことがありますが音響的な体験は今までなかった。

今回、たまたまファミリーコンサートが開催され音楽を聴くことができた。会場が大きいため1階席は音が上に抜けてあまり良くないかもという噂を聞いていたので、混んでいた事もあり2階席のバルコニー席的な最前列辺りで楽しんできました。

1階席はどこに座っても音が頭の上を外へ逃げていく感じで、ダイナミックな音響など望むべくもない

コンサート会場の音響設計では「反射音」「残響時間」「吸収率」などを気にしながら設計するようですが、目で見て直になんとなくわかるのは「反射音」「吸収率」に関する情報でです。


壁などに当たって客席に届く「反射音」の時間差が重要で一般には直接音(最初に届く音)からすべての反射音が届くまで0.1sec程度なら、明瞭感などさ、包まれる感じなど良い音として聞こえるようですが、大ホールなどは基本的に難しい。

そこで大ホールでは反射音が乱反射させて音がまんべんなく届くようにしたり、壁の材質を考慮し「吸収率」を変えて反射音を抑える工夫をしたりして設計されています。

壁が不規則にいろいろの模様になっているのはこのためです。




天井も反射と吸収率を考慮して白い布のようなものがたくさん並んでいます。コストダウンのためかちょっとDIYぽいですが...




コンサートを楽しむ前に音響設計が気になってしまいましたが、2階席のバルコニーぽい席(ステージからは少し離れていますが)では、期待以上に迫力が感じられる音を楽しむ事ができました。




流石に残響時間だけは見た目ではあまり良くわかりません。でも実際のコンサート会場はどうなっているのか調べてみました。

先ず、残響時間の定義はというと

音源が発音をとめた後もエコーのように音が聞こえる現象で,音源が発音を止めてから、残 響音が-60dBまで減衰するまでの時間を残響時間と言うようです。-60dBとは、音のエネルギーが1/1000000まで小さくなるという意味になります。

室内で測定するときはスピーカよりピンクノーイズを発生後して安定後に音を止め、その減衰音を記録して-60dBなるまでに要する時間を求めます。

残響時間では有名な式があります。

アイリングの式【Eyring's equation】
T=0.161V/-S×ln(1-α)

T:残響時間(秒)
V:容積率(m3)
S:部屋の内表面積(m2)
α:部屋の平均吸音率

ホールやスタジオの音響設計に使われる平均吸音率とはJISで規格が決められた残響室で測定した残響室法吸音率の平均値(音楽ホールで0.2程度,リスニングルームで0.3前後)。

当たり前ですが大きいホールほど残響時間が長い傾向があります。例えば、サントリーホール(2.1sec)、東京芸術劇場(2.1sec)、東京オペラシティホール(1.96sec)。また、東京芸大の奏楽堂(1.6~2.4sec)ように残響時間を調整できるホールあるようです。  

残響時間は一般的に壁などの素材が固いほど、また空間が大きいほど長い残響時間となります。実際には観客の人数によっても変化するようですが...


残響時間には「最適残響時間」とう考え方があり

「少なすぎると音楽音は豊かさに欠ける」、
「多すぎると明確さに欠ける」

と言われています。「最適残響時間」は一般的に500Hzの純音の残響時間のことをさしますが、実際には周波数ごとに残響時間が違うので個別に残響時間を考える必要があるようです。最適残響時間はネットで検索するとグラフで出てきますがあくまで音響設計するときの参考値に過ぎないとおもいます。


コンサートが始まるまでこうやってホール音響設計の基本を目で確認して待ち時間を楽しく過ごすのもまた、違った思い出になります。